ST黒の調査ファイル

STのシリーズは5人からなる科学特捜班のお話です。その分野に置いて秀でた才能があるのてすが、致命的な欠陥をもっているという点で、親しみやすい人物になっていると思います。そんな5人の個人に焦点を当てたのが色のシリーズで、今回は無口で武闘派の黒崎勇治が主人公お話です。


超人的な嗅覚を持ち、第一化学担当の彼は本当に必要なことしか喋りません。なので話がどう進むのかと思ったら、彼は確かに出ていますが、周りがどうのこうのと動いて、要所要所に彼が出てくる作りになっていました。それでも、読めるのですから、彼が主人公だと感じる存在感があるんですよね。
放火事件と、ワンクリック詐欺にあった青年の復讐、という2つの出来事が平行に進んでいくわけですが、どうリンクしていくのかドキドキします。
密室で放火が行われる原因の説明は、専門的なお話ですが分かりやすく書いてあります。今野さんの説明が上手なんてすよねー。
計算しつくした上でのおいしいとこ取り……そして、一言の重みが違う黒崎さんがなんだか好きになってきた一冊でした。
さくさくと読めたので勿体ないなぁとは思いましたが、かなり良かったです。推理小説にはいるとは思うのですが、全然かたっくるしくはないので、興味を持たれた方はこの『色』のシリーズを読まれては如何でしょうか?


読んでいて思ったことが一つ。
それぞれに個性的なキャラクターですが、そんな彼らを絵におこして欲しいなぁと、思ったわけですよ。特に5人の上司。とても平凡な男で、きっと説明がなくっても分かるんじゃないかなぁと。意識すればするほど見たくなります。ホント、誰か描いて欲しいなぁ。
あとは”美は力だ”と思い知らされる美貌の青年・青山と、10人が10人その素顔を見れば振り返る美貌をもつ桜井京介(@建築探偵桜井京介シリーズ/篠田真由美)では、どちらが美人さんか……いえ、おそらく質の違う美人だとは思うのですけど、2人並べてみてみたーい。数年前に発行された講談社の探偵一覧小冊子でイラストレーターも書けなかった京介を思い出し、今更ながら熱が沸騰してしまいました(笑)